いかなる業務も「目的なし」に生成されることはありません。これは企業活動における「業務の生成・消滅状況」とそれぞれの「実行内容」の監視が、企業活動における健全性把握の可能を示唆していますが、一つのアプローチとして、単体の業務を見つめる「局所的な結果の管理」を出発点とする場合、特定の事象が起点(上を見上げる「仰視の視点」)となることで、その「結果」をもたらした「原因の特定」に嵌まり込むことで、ここでの目的(企業活動における健全性の把握)からの逸脱が懸念されます。

一方、最終(もしくは上位)目的に対して、予め、どのような「機能分類(function category)」と「機能」が用意され、また全ての機能間での「関係性」をどのように想定しているかを起点(上から見下ろす「俯瞰の視点」)とする場合、状況に応じて、本来呼び出されるべき機能の出現遅延や、時間的あるいは金銭的リソースの消費超過状況など「他機能との連携の管理」を視点に置くことで、その「状況」をもたらした「経緯の把握」が可能となり先の懸念は解消されます。把握した経緯の中で、周囲への影響度の高さを尺度に優先度づけを実施した後の「原因特定」「処置」への移行を実現することで、企業活動の観点からより効果的なアクションを求めるために使う地図が機能マップです。

尚、組織図と機能マップは目的・意味が違いますので注意が必要です。
組織図は、メンバーが寝泊まりする宿舎の「部屋割り」を表すもので「機能を表すものではありません」から、組織間の繋がりを描くことが企業活動を表現することにはなりません。
これに対して機能マップは(スタティックな状態では)例えるなら、地面に白線で「役割の区割りと繋がり」が書かれた(誰も居ない)運動場のようなものです。ある人が(何らかの思い or 指示により
)ハードル競争の実施要求を受けたなら、ハードルなどの物的リソースを並べ、選手という人的リソースを召喚しハードル競争を企画・運営します。これが業務の生成と運営に相当します。そして、競技が終われば選手を退場させハードルなどを片付けることでまた誰も居ない運動場に戻ります。これが業務の消滅に相当すると考えると分かり易いと思います。

 

業務の機能マップは、静的には「目的遂行のために用意した必要機能の関係性」を表し、動的には「その時々に生成される業務の出現・消滅状況とそれぞれの実行計画・実行手順を管理」するための基本的な「地図(背景図)」です。

 

業務の機能マップ

 

製造業向けに適用した場合の例

 

開発プロジェクト向けに適用した場合の例