個々の活動の目的を決めている背景が見えないことには適切な実行も適正な管理も困難です。

基本的なやり方は変えずに「思うようにならない原因を探る業務」もあれば「新たに根本的に違うやり方を考える業務」もあります。前者は「決められた世界の中でのバラツキ抑制の活動」ですが、後者は「新しい世界を創り出す活動」ですから異なる目的を背景に持つ活動と表現することができます。

目的が異なるわけですから、それぞれに求められる「知的」「物的」「金銭的」「時間的」リソースにも違いを生じます。

 

前者の代表的な例である「眼前で発生しているトラブルへの対処」の場合、即座の対応が求められる時点で「時間的リソースは限りなく乏しく」それ以外についても「今まさに手に入るリソースでの対処」が求められます。したがって、業務の生成から消滅までの一生は以下のようになります。

● 直接的に関連ある「経験」により適当な「手段候補」(理想解)を「選択」する
● 現状と照らし合わせ、実現可能な「手段(群)」(現実解)をフロントライン(現場)に「実体化」する
● 現実解をフロントライン(現場)で実行し「理想解と現実解の差分」を「計測」する
● 理想解とは異なる現実解での「実行結果」を新たな「経験」として蓄積する

一方、後者においては、相対的に「豊富な時間的リソース」を利用できる場合が一般的です。但し「創り出す」にあたっては「膨大な知的リソース」が必要となります。また、技術知識や経営知識だけがあれば良いわけではなく、同様に業務の一生を記すと以下のようになります。

● アナロジーの観点から類似の「知識」までを「探索」し「必要機能」(理想解)を「抽出」する
● 現状と照らし合わせ、調達可能な「機能(群)」(現実解)でフロントライン(現場)を「形成」する
● 新たに形成したフロントライン(現場)における「機能の繋がり」を「検証」する
● 理想解とは異なる現実解での「機能の連携結果」を「知識」として蓄積する

 

前者は「戦術」、後者は「戦略」に関わる業務です。いずれも重要な業務ですが「入力情報の枯渇」によりバランスが崩れることがあります。とりわけ懸念されるのが「内部情報の収集」や「内部の機能強化」ばかりに明け暮れ「外界との出会いが疎かとなる」ことで、戦術論への偏重が生じることです。

 

AMP(Activity Management Policy/Platform)は、企業活動において必要な個々の取り組みを時間的・空間的に見つめることで、全体のバランスを保つコンセプトでありプラットフォームです。

● 事実(fact)経験(experience)知識(knowledge)の三層を核とする「知的基盤」
● 
upper Edge 戦略・戦術の策定
● middle Edge 機能連携の管理
● lower Edge 業務実行の管理

企業活動の変遷を、それぞれの Edge layer において、目的ごとに出現・消滅を繰り返す業務(activity)の集合体として管理し、これに内部・外部からの「インプット」「アップデート」により常に変化するリソース状況管理の視点を加えることで、企業活動全体におけるバランス不全の解消を目指すものです。


ものづくり世界の知見そのものですが、先人が「仕事との向き合い方」として伝えて下さった知恵です。したがって、適用先は分野・業種を問うものではありません。
宿舎に眠ったリソースをフロントライン(現場)まで召喚し、業務が終われば宿舎に返すような「業務の生成・消滅」経緯を管理する「ライフモデル」、各所に生成されるフロントライン(現場)までの繋がりを地図として表現し、ある時点・ある地域において、どこに業務実体が存在するかを管理する「機能マップ」。いずれも先人の知恵をシステム的に表現することを試みるための道具です。

尚、それぞれの業務(activity)は、思考と実行により形成されるループですから(思考領域にデジタルの力を借りると)いわゆる 一つ一つのCPS(Cyber Physical System)と捉えることができます。したがって、CPSもまた常時存在するものではなく、必要に応じて生成され役割を終えれば消滅する一時的な存在として扱うべきものと考えられます。