ある方と会話する中で、前回、Edgeが担うべき機能の説明において挙げた「殿様・軍師・兵隊」としての機能は、多かれ少なかれ「一人の人間の中」に存在する機能でもあるんですよ…と申し上げたら、その方「えっ…」と驚きの表情をされました。

 だって「上司と部下って別の人でしょ?」…とその方の言葉は続いたわけですが、人間が「考える」という行動をとる限りにおいては、そこには「探索」と「判断」と言った「頭の中での行動(思考実験・仮説構築)」と、目耳などのセンサー・手足などのアクチュエータを「制御する動作(実証実験・仮説検証)」の組み合わせが必ず存在します。

 中には、私は言われたことをやっているだけだから思考実験なんて縁が無い…とおっしゃる方がいらっしゃいますが、そんな方に限って、実は損得を含め多くのことを考え、自分の意志を抑え込んだ結果として行動しておられたりします。時々「抑制」の歯止めが効かなくなり「文句」を垂れるところは何とも「人間らしい」ですよね(笑)

 

 さて、モノづくり世界において「自動化」と言う言葉が現れてどれほどの時が経つのか分かりませんが、昨今では、ありとあらゆる世界で「自動化」もしくは「デジタル化」と言う言葉が花盛りです。

 自動化を推進することで効率化を図り、より高い価値を生み出すことに人の役割は進化する…などと言われていますが、その出発点で「人の何の能力を支援・代替するの?」を特定してあげないことには、議論すら難しいのが現実です。

 冒頭記しましたとおり、人には「探索」「判断」そして「制御」の能力が存在しますから、まずは、この内どの能力の支援・代替を目指すのか?が議論の入口ですが、もう一つとても大事な視点として「抑制」の機能が挙げられます。

 最初の三つの機能「探索」「判断」「制御」は、いずれも周辺の変動がある許容範囲内に安定化されていることを前提に発揮することができる能力です。人の世界で例えるなら「日々の当たり前」を提供する機能であり、蛇口をひねれば水が出る・コンセントからは常に電力が供給されているなどが挙げられます。ものづくり世界なら、正しい部品が・正しい時間に・正しい数届けられる…などです。

 世間で一般的に目にされる自動化設備・システムは、その大半が「守られた世界」「周辺変動が許容範囲内に抑制された世界」に置かれています。その外側で守られた世界を創り出すための自動化設備・システムもまた、さらにその外側で守られた世界を創り出すシステムに守られています。

 

 自らが置かれている世界は、必ず誰かに守られている世界なのですから、時々は外側にも目を向ける必要があります。そして、自らは誰の外側に居て、何を守ろう(何の変動を抑制しよう)としているかを知らないことには繋がりは生まれず、SoS(System of Systems)はおろか、エコシステムの形成さえ難しくなってしまいます。

 ほとんど全ての人は、時々「抑制」の歯止めが効かなくなり「文句」を垂れるわけですから、みんな「外側の重要性」も「変動抑制の大変さ」も知っています。

 

 守られた世界の中で議論する「自動化」「デジタル化」は大事ですが、周辺環境が変われば消えゆく一過性のものです。

 人の進化と継承を語るために、周辺環境の変動抑制を図り、新たな守られた世界を創り出し続ける領域での「自動化」「デジタル化」の議論が(もう少し)盛り上がって欲しいと私は思います。

 

 自動化って「公式」を使って問題を解くのに似ているかも?と思ったことがあります。学校の問題って、周辺が整備されて公式が適用できるようになってますからね。世の中との違いを体感できる最も身近な事例かもしれませんね。

 

それぞれに 守られた世界を創出・維持できているかな?
自分自身の中を含めて

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です